生成AIのセキュリティを調べていると、ZDR(Zero Data Retention)という言葉を目にすることがあります。
日本語では「データを保持しない」という意味です。
知財業務のように未公開発明や顧客の機密情報を扱う場合、重要な確認項目の一つになります。
ZDRとは
生成AIを利用すると、入力した文章やファイル、AIが生成した回答などが、サービス提供者側に一定期間保存される場合があります。
ZDRは、こうした利用者の入力内容や生成結果を、処理後に原則として保存しない仕組みを指します。
ただし、「ZDR」という名称だけで安全性を判断してはいけません。
何が保存されないのか、どの機能が対象なのか、例外があるのかは、サービスによって異なります。
「AIの学習に使わない」とは違う
ここは特に混同しやすいところです。
「入力データをAIの学習に使わない」という条件でも、セキュリティ監視やサービス運用などのために、データが一定期間保存される場合があります。
つまり、
学習に使わないことと
データを保存しないこと
は別の問題です。
実際、OpenAIのAPIでも、通常は顧客データをモデル学習に利用しない一方、標準設定では不正利用監視用のログが一定期間保持される場合があり、ZDRはこれとは別のデータ管理設定として扱われています。
ZDRでも確認すべきことがある
ZDRが設定されていても、
- すべての機能がZDR対象なのか
- ファイルや画像も対象なのか
- 外部検索や外部サービスを利用した場合はどうなるのか
- メタデータや利用記録は残るのか
- 一時的な処理用データはどう扱われるのか
などを確認する必要があります。
例えばGoogle Cloudでも、生成AI機能によってはデータ保持が発生するため、ZDRを実現するには特定機能を使用しない、または設定を変更する必要があると説明されています。
知財業務では重要な確認項目
ZDRは、未公開発明や営業秘密を扱う知財業務では有力な安全対策の一つです。
しかし、
「ZDR対応だから安全」
と一言で判断するのではなく、
どのデータが、どの機能で、どの期間保存されるのか
まで確認することが重要です。
ZDRは生成AIのリスク管理を考えるうえで重要な仕組みですが、NDA、アクセス管理、データ処理場所、人による確認などと組み合わせて考える必要があります。