生成AIは、特許調査、明細書のチェック、翻訳、拒絶理由の分析など、知財業務のさまざまな場面で利用できます。
一方で、知財業務では未公開発明や顧客の機密情報を扱うため、一般的な文章作成より慎重なリスク管理が必要です。
重要なのは、生成AIを単純に「安全」または「危険」と判断しないことです。
どのようなリスクがあるかを分けて考え、それぞれに対策を設ける必要があります。
まず確認すべきは情報の取扱い
生成AIへ入力した情報が、
- AIの学習に使われるのか
- 一定期間保存されるのか
- サービス提供者がアクセスできるのか
- 第三者へ提供される可能性があるのか
- どの国や地域で処理されるのか
といった点を確認する必要があります。
「有料版だから安全」「学習に使われない設定だから安全」と、一つの条件だけで判断するのは十分ではありません。
契約面の確認も必要
技術的な設定だけでなく、利用規約、プライバシーポリシー、データ処理条件などの契約面も重要です。
機密情報を扱う場合には、NDA(秘密保持契約)や、入力データを保存しないZDR(Zero Data Retention)などが問題になることもあります。
ただし、NDAがあることと、データが保存されないことは同じではありません。
それぞれ何を保護する仕組みなのかを分けて考える必要があります。
AIの誤回答もリスクの一つ
情報管理だけがリスクではありません。
生成AIは、もっともらしい誤情報を作ったり、資料の一部を読み落としたり、同じ指示でも異なる回答を返したりすることがあります。
そのため、重要な判断については、人による確認や別の方法による検証が必要です。
大切なのは「仕組みとして管理する」こと
知財業務で生成AIを使う場合には、
何を入力してよいか、どのサービスを使うか、どのようにデータが扱われるか、誰が出力を確認するか。
こうした事項を個人の注意に任せるのではなく、あらかじめ仕組みとして決めておくことが重要です。
生成AIのリスク管理は、一つの設定で完了するものではありません。
情報管理、契約、技術、運用、人による確認を組み合わせて管理することが基本になります。