生成AIは、特許調査、明細書のチェック、翻訳、拒絶理由の分析など、さまざまな特許業務に利用できます。
一方で、一般的な文章作成とは異なる注意も必要です。特許業務では、未公開の技術情報を扱い、AIの回答が出願方針や権利範囲の判断に影響する可能性があるからです。
入力してよい情報か確認する
最初に確認すべきなのは、利用する生成AIへ資料を入力してよいかという点です。
未公開の発明、出願前の明細書、顧客から受け取った資料などには、重要な機密情報が含まれています。
有料版を利用していることや、「学習に使用しない」と設定していることだけで安全と判断せず、入力内容の保存、AI学習への利用、アクセス管理、処理場所などを確認する必要があります。
もっともらしい誤りを疑う
生成AIは、存在しない判例、文献、段落番号などを、実在する情報のように回答することがあります。
文章が自然で説明が詳しいほど、誤りに気づきにくくなる場合があります。
AIが示した法律、審査基準、引用文献、段落、数値などは、元の資料や公的な情報で確認することが必要です。
資料全体を読めているとは限らない
長い特許公報、二段組みの文書、画像として保存されたPDFなどでは、AIが一部を正しく読み取れないことがあります。
資料をアップロードできたことと、その内容を漏れなく理解できたことは同じではありません。
どのページを読み取ったのか、図面や表を認識できたのか、途中で情報が欠けていないかを確認する必要があります。
同じ指示でも結果が変わる
生成AIは、同じ資料と指示を与えても、毎回同じ回答を返すとは限りません。
重要な判断については、一度の回答だけで結論を決めず、再確認したり、別の方法で検証したりすることが大切です。
最終判断は人が行う
生成AIは、資料の整理、問題点の抽出、文章の下書きなどに役立ちます。
しかし、特許性、権利範囲、反論方針、補正内容などについて、最終的な判断と責任をAIへ移すことはできません。
生成AIを専門家の代わりと考えるのではなく、専門家の判断を支える補助者として使い、その周囲に確認の仕組みを置くことが重要です。